東梅 洋子 (とうばい ようこ)
<詩作品>
1 3月11日の午後
同級生の彼女
何十年ぶりかの再会
一ケ月後
生まれ育った
海辺の町に現れた
巨大な影と
たわむれて
帰る道を
忘れたと
どこで道草してる
桜のつぼみが
咲く頃 もどるのね
帰るのよ
2 防波堤
母さん 海見えないね
貴方達を守るためよ
でもね
神様はまだ許してくれなかった
ここで待っててすぐ戻るわ
早くもどってね
海は母さんを帰してくれない
暗い空から白い花が落ちて来た
母さん雪降ってるね
寒いね
3 花見の会
今日は天気もいいし
皆で花見だ
花がなくても
お酒が飲めなくても
場所はどこでもいい
コタツに入ったままでも
外で掃除してても
横になってな ばあちゃん
時間になったら
11時になったら
さけぼう
ガンバロウー
ガンバロウー
皆で
ガンバロウ
4 友人の電話
同級生のご主人が
みつかったと
彼女はまだ
道草したまま
きっとあの時間
二人はテレビを見ていた
いや庭いじり
だから 一緒に
帰りたかったはず
昨日一人で先に
よしこちゃん桜咲いたよ
昨日
花み会やったよ